就職するのは地方と都会ではどっちが有利?両方住んだことがある著者が解説します

ネット社会の現代では市外、県外の仕事を探すことが容易なので、縁故入社が基本だった昔と違って今は別に近所で探す必要はなくなりました。

ネットの情報を見て、

「都会の方が仕事があるから県外に出よう」

「地方の方が競争率が低いから地方に出よう」

のように考える人も多いと思います。

確かに都会の方が求人数が多いのでその分仕事はたくさんあります。逆に地方は求人数が少なく自分がやりたいと思った仕事の採用枠が少なかったり、そもそも求人自体がほとんどなかったりします。

一方で都会は求人の数が多い分仕事を探している人も多いので競争もあり、逆に地方では若年層の人口が減っているので競争がほとんどなかったりもします。

都会と地方ではどちらの方が就職しやすいんでしょうか。

目次

求人倍率は都会の方が低い?

独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によると2022年の3月の全国平均有効求人倍率(求職者一人あたりに対する求人の数)は1.22となっています。

ちなみに2018年の4月は1.59だったので全体的に見ればかなり悪化していますね。

ちなみに求人倍率とは1人の求職者(仕事を探している人)に対してどれくらい仕事があるか?を表しています。

求人倍率が「2」であれば、1人に対して2つの求人があるというイメージです。

このうち平均を押し上げている、つまり全国平均より仕事が多い都道府県は次の通りです。

全国平均より仕事が多い都道府県
  • 岩手県 – 1.35
  • 宮城県 – 1.37
  • 秋田県 – 1.51
  • 山形県 – 1.47
  • 福島県 – 1.38
  • 茨城県 – 1.45
  • 群馬県 – 1.37
  • 東京都 – 1.34
  • 新潟県 – 1.51
  • 富山県 – 1.52
  • 石川県 – 1.47
  • 福井県 – 1.34
  • 新潟県 – 1.51
  • 富山県 – 1.52
  • 石川県 – 1.47
  • 福井県 – 1.89
  • 山梨県 – 1.33
  • 長野県 – 1.45
  • 岐阜県 – 1.58
  • 静岡県 – 1.24
  • 愛知県 – 1.33
  • 三重県 – 1.35
  • 奈良県 – 1.23
  • 鳥取県 – 1.49
  • 島根県 – 1.65
  • 岡山県 – 1.44
  • 広島県 – 1.46
  • 香川県 – 1.54
  • 愛媛県 – 1.34
  • 佐賀県 – 1.34
  • 熊本県 – 1.39
  • 大分県 – 1.29
  • 宮崎県 – 1.41
  • 鹿児島県 – 1.34

のようになっています。東北、北陸地方が意外と高くて驚きました。

逆に平均値を下回っている県は次の通りとなっています。

平均値を下回っている都道府県
  • 北海道 – 1.08
  • 青森県 – 1.14
  • 栃木県 – 1.17
  • 埼玉県 – 0.96
  • 千葉県 – 0.90
  • 神奈川県 – 0.82
  • 滋賀県 – 1.04
  • 京都府 – 1.12
  • 大阪府 – 1.16
  • 兵庫県 – 0.96
  • 和歌山県 – 1.13
  • 高知県 – 1.16
  • 福岡県 – 1.08
  • 長崎県 – 1.19
  • 沖縄 – 0.78

2022年3月では地方だからといって求人倍率が高い(仕事が少ない)とは限らず、かと言って都心の方が人口に対して求人が多いとも言えません。

例えば神奈川、埼玉、千葉の求人倍率が高いのは都内で就職を希望する人口が多いため、各県内の求人倍率は低くなっています。

都会の求人が多いとは限らない

東京、愛知は予想通り求人倍率が高く仕事を探している人に対して求人数が上回っています。

しかし数年前と比べて極端に仕事が集中しているとは言えず、首都圏という枠組みで考えれば求職者に対して十分な求人数があるとは言えないレベルです。

また大阪は平均値を下回っており、福岡に至っては平均値を大きく下回っていることから都会なら必ず仕事があるとも言い切れません。

同様に地方の方が求人倍率が低いとも言いきれず、つまり都会でも仕事がない県もあるし、逆に地方でも仕事が見つかりやすい県もあるというのが結論です。

東京は圧倒的に求人数が多く1人の求職者に対して2つ以上の求人がある状況でしたが、2022年4月では、他県よりも少し多い程度となっています。

また関東近辺からの求職者も多いため、実質の求人倍率はもう少し上がるでしょう。

ただ都会の方が仕事が多いのは間違いない

東京や大阪等の大都市周辺はやはり求人数が圧倒的に多いです。

単に数が多いだけでなく、職種、業種の種類が圧倒的に多いので、就きたい仕事によってはむしろ都会に出ないと仕事にありつけないケースも多々あります。

例えばモデルやイベントコンパニオンのような仕事は地方ではあまり馴染みはありませんが、都会では専門の派遣会社がたくさんあったりもします。

その他にも、

  • IT関連職
  • 人材紹介業
  • メーカー
  • 商社
  • ベンチャー企業

などはある程度都市部に出ないとほとんど仕事がないケースは多いです。

また、たくさん仕事がある故に、人材を扱うサービス、人材紹介会社が充実しているため、就職活動がしやすいという側面もあります。

単に仕事をする、仕事を探すという面においてはやはり地方よりも都会の方が圧倒的に有利です。

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無理して都会に出る必要はない

今回都道府県別の求人倍率を調べて思ったことは、やはり地方にも意外と仕事があるということです。

私が高校で就活していた時代(約10年前)は地方には本当に仕事がなく求人倍率はよくて0.8程度でした。

なので大学や専門卒生も県外に就職する人が多かったんですよね。

当時は紛れもなく都会の方が就職しやすい時代にありましたが今はやはり地方で過疎化による労働力不足が起きているため特に若年層は就職しやすい状況にあるように思えます。

なので平均値を大きく下回っている沖縄(ワースト1位)や兵庫(首都圏を除くワースト2位)、高知(ワースト3位)等、特に仕事が少ない県を除けば地元で就職するのもそれほど難しくないと思われます。

都会から地方へ就職するという選択

東京は全国的に求人数が多く就職しやすい気もしますがその分仕事を探している若い世代も多いので過疎化している地方の方が就職しやすいのではないか?

と考える人も多いと思います。

確かに特に東北地方の求人倍率は軽く1.0を上回っている場合も多く若年層も少ないので一見就職しやすいように思えます。

しかし地方は求人の全体の数は小さく、そもそも会社の数が少ないので仕事の種類が限られていて「選べない可能性が高い」です。求人のほとんどが介護や医療関係ということもあります。

更に土地柄によっては余所者を毛嫌いすることもあるので地方の方が競争が少なくて就職しやすいとは限りません。

都会から地方に出ようとする場合はまずネット求人を見て希望する仕事があるかどうかを確認し、更にその土地でなければならない理由を見つけましょう。

地域の方が生活コストが安い、は本当か

少し就職とは離れますが、地方に住んでいたので地方の生活について一つお話しておきます。

地方は生活コストが安くて住みやすい、という情報は結構多いですが、これに関しては正直、そんなことはないと言えます。

厳密に言えば、「地方に住めば生活コストを落とすことが出来る」というイメージです。

例えば「地方に住めば、中心部でも家賃が安いので仕事場の近くでアパートを借りて生活すれば車も要らないし交通費も掛からない」という意見があったりします。

確かにそうすればその通り安くすることが出来ますが、地方は車を持っていないと移動手段がなくて本当に困ります。

家と職場の往復しかしないのであればそれで問題ないですが、週末に遊びに出かけたり、遠くに買い物に行ったりする際に移動手段がないとキツイです。

単純に車を所有しなければ生活コストを下げられますが、それは不便さと引き換えにお金が掛からない生活を選んでいるだけです。

地方に住むということは単純に不便な場所に住む、ということです。

「地方に移住して生活コストが下がった」

という人の多くは単に生活水準を落としているだけ。生活コストが安いのではなく、生活水準が低いだけなのです。

地方でも移動に便利な車を保有してしまえば車の購入費、ガソリンや税金などの維持費、駐車場代が発生します。

まとめ

「就職するのは地方と都会ではどっちが有利か」

まとめると、やはり圧倒的に求人倍率が高い東京は有利に就活が出来るでしょう。求人数が多いので就職支援のサービスも充実しています。

そして地方も場所によっては厳しい場合もありますが、やはり全体的に過疎化が進んでいるので一昔前に比べれば就職しやすい状況となっています。

求人倍率が多少低くても仕事を探している人が若年層が多いか、中高年が多いかで就職のしやすさは変わってきますし地方の場合後者である可能性が非常に高いです。

なので無理して都会に出る必要もなく、かといって地方の方が有利とも限らないので自分が住みたい土地で選んで問題ないと思いますよ。

著者プロフィール

ニックネーム:吉本ひろうみ

記事のライティング、運営管理担当。

高知県出身。
フリーター5年、プロバイダ販売、電気通信事業者の営業を経てインターネット広告業界に参入。
副業で取り組んだ後に独立。インターネット広告を6年、現在は起業しサブスク事業などをやってます。

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