私が初めて読んだビジネス書は『金持ち父さんのキャッシュフロークワドラント』という本でした。
今から約15年くらい前、当時の私は丁度二十歳くらいで高校を出て最初に就職した会社を辞めたばかりくらいの時でしたね。
衝撃が走りました。
それまで私は夏休みの読書感想文の宿題を提出したことがないくらい書籍と呼ばれるモノを全くと言っていいほど読んだことがなかったんですが、キャッシュフロークワドラントと著者の前作でありベストセラーの『金持ち父さん、貧乏父さん』は何度も読み返しました。
社会のルール
ベストセラーなので読んだ方も多いかと思いますがロバートキヨサキの本は基本的に投資について書かれた本です。
しかし上述した初期の2作品は投資だけでなく主に社会のルールについて書かれた本です。
例えばキャッシュフロークワドラントでは収入を得る人を、
①労働者
②自営業者
③ビジネスオーナー
④投資家
という4つのクワドラントに分け、お金持ちになりたけば③のビジネスオーナーか投資家にならなければならない。資本主義社会はそういうルールがある。
ということを説いています。
キャッシュフロークワドラントはもう10年以上前に書かれた本ですが、このルールはもちろん今も健在で日本でお金持ちになるのは会社の経営者になるか投資家になるしかありません。
この本ではどうすればクワドラントの③④に移れるかが書かれているわけですが、基本的には投資がメインとなっています。
しかし投資をしたければそれなりにまとまった資金が必要で、それを持つまでが大変です。
そのため私を含め多くの方がこの本を読んでもお金持ちになれずこれまでなんら変わりない十数年間を過ごしてきたことでしょう。
社会はルールで出来ている
話を主題に戻しますと、上記ロバートキヨサキの書籍は私にとって役に立たなかった書籍であると言えます。
何故なら私は『金持ち父さん、貧乏父さん』を読んで金持ちになったわけでもなければ10年経った今も投資を始めてさえいないからです。
でもそれもそのはず。
投資にはある程度まとまったお金が必要で、ロバートキヨサキの書籍にはそのある程度投資を始められる最低限の収入を得る方法については書かれていないからです。
ルールが違うと参考にもならない
投資について書かれたロバートキヨサキの本はある程度の資産(1000万円程度の貯蓄)を持っている人にはある程度参考になったんだと思います。
「銀行にお金を預けるはバカがやること」
「お金に働かせる」
ある程度の資産があればこれらの言葉は有効ですが、貯金がゼロの人にとっては何の役にも立ちません。
このようにビジネス書やハウツー本は書かれている内容と自分が同じルールにいなければ何の参考にもならないわけです。
会社にもそれぞれルールがある
株式投資には株式投資のルールが、不動産には不動産のルールが、FXにはFXのルールがあると同時に会社には会社のルールがあります。
ビジネス書を読む人の多くは会社に勤めている人だと思いますが、会社に勤めている人、つまり会社員が収入を伸ばすには会社のルールに従わなければなりません。
ルールを守らないと成功は出来ない
会社のルールというのはもちろん自社のルールのことでもありますしその業種、職種のルールのことでもあり、それらを守らずしてその会社で年収を上げることはできません。
『東大生から学ぶ仕事術(仮名)』のような書籍で紹介されている手法、仕事術等がどんなに素晴らしいものでも自分の環境に置かれるルールに反していれば何の役にも立たないわけです。
「自分の好きなことをやれ」
「会社に従うな」
「人とは違うことをやれ」
これらは多くのビジネス書に書かれていて、とても聞こえがよくその著者のファンになってしまいそうな言葉ですが、一般的なサラリーマンがこれを実践しても絶対に年収を上げることはできません。
ビジネス書は独立した人が書いている
多くのビジネス書の著者の肩書きを見ると、会社員でないことがほとんどです。
どこかの社長だったり、それもコンサルタント系が多かったり、大学の教授だったり・・・
就活系の書籍にはリクルートに勤めていたりとそのすべてがというわけではありませんが、一般的なビジネス書の著者は普通の会社に勤めている人でないことがほとんどです。
会社の経営者や自営業者にとっては、
「自分の好きなことをやれ」
「会社に従うな」
「人とは違うことをやれ」
という言葉は正しいことが多いですが、日本の大多数の会社では会社(上司)に従わない人は出世できません。
そして大多数の業種、職種では人と違うことをやれば注意されますし目も付けられます。
斬新な手法、アイディアがあって、たとえそれがどんなに良い結果をもたらしてもそれを周囲の人が気に入らなければ評価されません。
しかし多くのビジネス書ではこういった当たり前のことは書かれておらず、常に斬新な成功法が書かれています。
ビジネス書が役に立たないのは自分が働いている環境のルールに基づいていないからです。
社会のルールに反してない本を読め
先述した通り、ビジネス書を著者の多くは会社員ではないため、ビジネス書は自分が働く環境のルールに則っていないものがほとんどです。
だから参考にならない。
しかし中には参考になる本もたくさんあります。良書というものですね。
では参考になるビジネス書はどんなものかというと、やはり社会のルールに則った本であると言えます。
社会のルールというのは常識です。
常識を肯定したビジネス書は少ないですが社会は結局常識で支配されているため常識を無視して成果を出すことは大変むずかしいです。
常識を無視して成功したければ独立するしかありません。
会社員向けの仕事術等の本なら、
- 敬語やマナーを重要視していること
- 上司の評価を重要視していること
- 残業ありきで考えていること
これらを満たす内容でなければ日本の大多数のサラリーマンにとって役に立つ本とは言えないでしょう。
よく「仕事が出来る人は残業をしない」みたいなフレーズを見ることが多いですが実際昇進する人はめちゃめちゃ残業する人が多いです。
残念ながらごく一部の優良企業を除いては残業すること自体を高評価するのが日本の会社の特徴です。
成果物で評価する優良企業のルールなら残業しないで収入を上げることが出来ますが大多数の会社は成果物だけではなくそれに見合った頑張りも一緒に評価するのが現状です。
まとめ
多くのビジネス書には常識を覆すような聞こえの良い言葉が書きつづられています。
しかしそれらが役に立つことはほとんどなく、本当に年収を上げることが出来た会社員はルールに従って努力した人だけです。
ビジネス書、ハウツー本を読む人はどこかで近道や抜け道、裏技を期待しています。
そのためそれらを提供する著者達も裏技っぽいことを書くんです。
でも、仕事にチャンスはあっても裏技なんてありません。
まずは自分のルールを把握して、ルールに従ってどうするべきかを考えましょう。
もしルールでがんじがらめに縛られていて、自分が行きたい場所に行けないというのであれば転職するなり独立するなりして、道を変更しましょう。
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