アイミツとは、ウェブサイト制作やSEO対策、ソフトウェア開発などの案件を複数業者に見積もり依頼し、比較、発注が可能なサービスです。
こういった比較見積もりサービスは、引っ越しの引越し侍や外壁塗装のヌリカエなど、BtoCのプラットフォームは多数ありますが、アイミツのようなBtoB向けのプラットフォームは比較的少ないのではないかと思います。
Web幹事や比較ビズなど最近はかなり増えつつあるように思いますが・・・
弊社ではまず発注者側として、アイミツを利用し、その流れで受注者側として利用してみたので、なかなか表に出てこない使い勝手や費用対効果、感想をまとめます。
ちなみに弊社では主にホームページ制作者と広告運用者として利用していました。
発注者側向けのコラムを書きました。
アイミツなどを使ってホームページ制作を発注したい事業者に伝えたいこと
アイミツの料金と基本システム
アイミツを受注者として使う場合の利用料金や基本的なシステムについて解説します。
ちなみに発注者は無料で使えます。
アイミツの料金システムと契約期間
アイミツの料金体系はネットに公開されていないようなので、厳密なところまでは触れないでおきます。※もしかしたら規約違反になる可能性もあるので
ただ他のウェブサイトなどをまとめると以下の内容が書かれており、下記の内容はすべて正しい情報となっています。
- 手数料は受注者側のみ発生
- 手数料は月額10万円~
- +成果報酬(成約したら数%手数料が掛かる)
また、IT分野とそれ以外の分野で手数料が違うという情報もありましたが、弊社の場合IT分野で利用していたので、それ以外の分野の手数料についてはわかりません。
また、手数料ですが、実はプランによって金額が変わってきます。
手数料などについては、アイミツに問い合わせすれば教えてくれますので、問い合わせしてみるのが良いと思います。
契約期間は1年間で1年ごとに更新となります、途中解約はできず、不要になった場合も費用は発生します。弊社はこれで半年以上ほぼ利用せず費用だけ発生してしまったので慎重に・・・
マッチングの仕組みと紹介される案件の数について
アイミツは担当している案件に申し込みがあれば、発注者側の管理画面に案件情報が流れてくる仕組みとなっています。
例えば、「ホームページ制作、東京都、予算30万円」という案件の申込みがあり、その案件を受注する対象となっていれば、管理画面に情報が流れてくる仕組みとなっています。
ちなみにここに流れてくる案件は絞り込みが可能で、例えば関東の仕事しか受けないのであれば都道府県ごとに対応地域を設定して対応する案件を絞ります。
流れてきた案件すべてが受注対象になるのではなく、まず受注者側が「対応するかしないか」の可否を決めます。
「対応する」と挙手した案件のみ、案件が流れてくる可能性が出てきます。
- 発注者がWeb上または電話で見積もり申込み
- 受注者の管理画面に案件が表示される
- 対応するかしないか選択
- 「対応する」とした中から「案件当選」となる
という流れです。
案件当選となって初めて見積もり、提案が可能です。
この「案件当選」の数はプランや状況によって変わってきますが、弊社の場合は月10件~20件くらいでした。
「対応する」とした案件の数が多いと全体的に当選しやすく、「対応しない」が多いと全体的に当選件数も減ります。
マッチングの正確性と案件の確度はどう?
次にマッチングの正確性について解説します。
アイミツというプラットフォームは登録時(契約時?)に自社がどの分野の案件を対応するか、を設定します。
下画像はアイミツの発注者側のページ(誰でも閲覧が可能なページ)から抜粋したもの。
例えばホームページ制作の見積もりを依頼したい業者が、見積もり依頼をした際に、ホームページ制作を出来る会社を紹介してくれないと、困りますよね・・・
逆にホームページ制作の業者に「営業代行の見積もりをください」と依頼が来ても困ります。
こういったミスマッチを防ぐために、受注登録業者は「対応出来るジャンルの設定」を行います。
ジャンルだけでなく会社の規模や地域、予算などの設定も行うので、例えば発注者側が「東京で対面で対応出来る会社」という希望の場合、その希望に沿った会社のみ紹介される仕組みになっています。
受注者側の視点で見れば、最初の設定で「東京のみ対応」としていたら東京の仕事(見積もり依頼)しか来ない、というイメージです。
マッチングの精度はそれなりに高い
- ジャンル
- 地域(対面、非対面)
- 会社の規模
を設定出来るのでミスマッチを高いレベルで防ぐことができます。
あくまで感覚的なレベルになりますが、ウェブ制作者として登録している場合、全くのミスマッチだと思う案件は月に1件あるかどうかだと思います。
ただ、稀に「ホームページと印刷物」のように、複合で案件が来て設定ジャンルからずれることはあります。
案件の確度、発注意欲について
アイミツの発注者の意欲は大きく以下にわかれます。
- とりあえず話が聞きたい
- 予算取り段階(直近で発注するかどうかわからない)
- 比較検討段階(良い業者が見つかれば発注する)
- アイミツ内での業者選定段階(発注が確定していて、どの業者にするか)
1番は最も発注確度が低く、4番は発注することが確定しています。
アイミツではこの1~4番がだいたい同じくらいの比率で利用されている印象です。※全体的に1と2番が多いように感じます。
とりあえず話が聞きたいレベルの発注者
ホームページ制作の場合あまり多くありませんが、広告運用やSEOなど発注者がよく理解していない分野にはこの発注者が多く見られます。
この段階の発注者はそもそも発注する気がないので、受注に繋がるケースは稀だと思います。弊社は早い段階からこういった発注者を始めから除外するようにしています。
予算取り段階の発注者
アイミツでは見積もり依頼する際に、「予算」と「納品時期」の指定が出来るようですが、こちらは「未定」とすることが出来ます。
納期、予算のいずれも決まっていない発注者を弊社では「予算取り段階の発注者」と読んでいます。
発注者側は見積もりを取る際に費用など一切掛からないため、
「だいたいの金額と注文した場合の納期をだいたいで良いから知りたい」
くらいの人が申し込みをすることがよくあります。
比較検討段階の発注者
発注することがほぼ決まっていて、どの業者に発注するかアイミツ内外から選定している段階。
感覚的にこの温度感の発注者が一番多いような気がしています。
こういった発注者は予算、納期は決まっていますが、サービスの質や金額で比較検討しているため、受注難易度はそれなり高いです。
また、こういった会社はアイミツ以外にも見積もりを取っている可能性もあり、実は他社でほぼ発注することが決まっていて、値下げ材料(価格交渉)のためにアイミツを利用している可能性もあります。
アイミツ内での業者選定段階
納期が短かったり、納期内で確実に納品してほしい時に、アイミツを利用している発注者は、アイミツ内で比較検討して決定しようとしているケースが多いです。
実際アイミツには納期まで2週間以内くらいとしている発注者も少なくありません。
こういった発注者の多くは零細企業や個人事業主など、小さい規模の案件になることがほとんどですが、相手の求める条件を満たしさえすれば、発注が決まるので比較的獲得しやすい案件となっています。
発注者の質について
「アイミツは発注者の質が悪い」
という意見もあありますが、実際は、
「発注者によって全然違う」
というのが弊社の見解です。
「◯◯ 相場」などのキーワードで多く上位表示されているアイミツは、とにかくいろんなお客さん(発注者)が見積もり申込みをしています。
メーカーから個人事業主まで
見積もり問い合わせを行う人は従業員1000人を超えるメーカーから個人事業主まで様々。
これから新事業を立ち上げたり、新規開業を予定している人までいます。
そのため、一概に「こういう客が多い」というのはありません。
知識レベルもばらつきがある
業界に対する知識レベルもかなりばらつきがあります。
弊社ではホームページ製作者、広告運用者として対応していますが、例えばWordPressという用語を知っている人もいれば、知らない人もいます。
広告運用に関してはマーケ担当がいる会社からの申込みもあれば、ウェブマーケティングのことを全く知らないレベルの人もいるので、この点においても、一概に「こういう客が多い」とは言えません。
ただ、全体的に知識がないから発注している場合も多く、「その分野に関して全然わからない人が多い」という感覚を持っておいた方が良いかもしれません。
安かろう悪かろうがわからない発注者が多い
これは見積もり比較というサービスの性質上、ある程度仕方ないのかもしれませんが、申込み者の多くは「安かろう悪かろう」がわからない、または頭に入っていません。
例えばホームページ制作で、A社20万円の提案とB社30万円の提案があったとしましょう。
この場合、納品されるものが全く同じものであれば、A社20万円の提案を選ぶのは当然のことだと思います。
しかしホームページ制作の場合、納品されるものが変わってくるので、A社より見積もり金額の高いB社の方がより良いホームページの可能性があります。
20万の提案よりも、より良いデザインの30万を選ぶか。
ホームページの場合、デザインや機能が比較的わかりやすいので、発注者もある程度正しい判断ができますが、問題はSEO対策や広告運用など、マーケティング関係の発注です。
ホームページ自体はいくらお金を掛けようと、閲覧数が増えるわけでもなければ利益を得られるわけでもないので、出来る限り安く発注しても問題ないと考えます。
しかしSEOや広告運用は掛ける費用が小さくなれば小さくなるほど出来ることが限られ、得られる利益は確実に小さくなります。
例えば広告運用の場合、予算10万円という案件は多いですが、予算10万円では出来ることはほどんどありません。
というのも、
- 広告費は運用者にとって手数料ビジネス
- 手数料は高くても通常20%程度
- つまり予算10万円の場合運用手数料は2万円以下になる
- 8万円以上は広告媒体(グーグルなど)に支払う
ということになり、運用会社は手数料2万円以下(広告費85000円で手数料17000円)しか得られないからです。
当たり前ですが、2万円以下の報酬では出来ることは限られてしまします。
そのため、弊社では最低でも30万円は必要、という話をしますが、発注者は10万円で受ける会社に流れてしまいます。
実際に案件を獲得できるか?全体的な感想まで
ここからは弊社で実際に獲得できるか?
費用対効果はどうか?
から全体的な感想までまとめます。
獲得割合は決して多くないが、工夫次第で件数は取れる
アイミツはおそらく多くの方が思っているほど全体的な獲得件数は多くありません。
見積もり問い合わせのうち、何%くらいの人が発注までいたってるか?
と担当者に質問したところ、予想以上に小さい数字が答えとして返ってきました。
また、平均的に見て「月にどれくらい獲得出来るものか?」と質問したところ、こちらも平均の数値は驚くほど小さいものでした。
しかし、弊社ではそれほど大した工夫をしているわけではありませんが、ある程度の件数は取れており、ビジネスモデルとしては悪くないという感想です。
費用対効果は担当者次第
月額10万円~と掛かるサービスですが、こちらを取り返せるかは(自社の)担当者次第というイメージです。
営業は結局営業担当者の腕一つで件数が決まってくるので、アイミツの案件を対応する営業担当の能力が高ければ黒字になりますし、逆に担当者が案件を獲得出来なければ赤字になってしまいます。
当たり前のことですが、アイミツはあくまで案件の紹介までで、その先受注できるかどうかは利用する人の腕次第です。
弊社の場合、代表者のわたしがすべて対応すれば、3~4社商談すれば1件くらいは成約していたので、それなりに高い費用帯効果がありましたが、10社商談して1件も取れない人が対応すると、おそらく赤字になってしまいます。
弊社が利用してみた感想
まず案件獲得の難易度ですが、正直簡単ではないと感じます。
というのも、あくまでサイト制作(及び広告運用など)利用での話ですが、サイト制作も、広告運用も安ければ良いという問題ではないため、それなりに高い提案力が求められるからです。
こういった見積もりサービスは100%ライバルありきでの提案となってしまうため、他社の提案より劣っていると、受注することが出来ません。
訪問なり、メールなり、電話なり、自分で営業して提案した場合は「他社より劣っていて受注できない」ということにならないことも多いですが、アイミツはほぼ100%ライバルがいるので、営業する人が他社より劣っていると獲得が出来ません。
ただ逆に、他社より優れた営業マンがいれば、案件を総取りすることが出来ると考えています。
もちろん上述した通り、アイミツでの発注意欲が低い発注者も多いので、すべて獲得することは出来ませんが、発注意欲の高い発注者や、比較検討している発注者であれば、かつ発注者が求める条件を満たしていれば、それほど難易度の高いものではないと考えます。
また、他社サイトで指摘している通り、こういった見積もりサービスに登録している会社は全体的に良質な提案が出来ていないことが多いです。
見積もり比較は価格競争になりやすいため、「質より安さ」を重要視する受注者が多く、また知識のない発注者もわかりやすい金額(安さ)で決めてしまうケースが多いからだと思います。
アイミツの仕組みを理解する必要がある
獲得件数を増やしたければ、まずアイミツの仕組みを深く理解する必要があります。
深く理解した上で獲得しやすい案件にしぼり、的確な提案をすれば受注件数を大幅に増やすことは出来るでしょう。
もしアイミツを現在利用していて、獲得が全然出来なくて困っているという方がいれば、お問い合わせ頂けると詳しくお話いたします。
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